前作から3年のブランクを空けてリリースされたソロアルバム第2弾。ドラマーはチャック・ラフをいうアメリカンロック界隈では有名なドラマー、この人選からも今作は外連味のないアメリカンロックを軸に展開するんだろうという事が聴く前から予想できる。レーベルはMusic For Nationsに変更と言うことで、コマーシャル性は高いが哀愁のあるメロディを良い色濃くし叙情味をアップ。そこに熱情も込め、ロックな躍動感を高めている。
その浮遊感のあるメロディとサイケな色合い、多種多様な音楽性をひとまとめにするわけでもない、原始的な発想によるロックサウンドの胎動。それは、まだ細分化される前の時代へと遡っているようだ。個人的にはここまでいくと少々、ついていけないのだが、 Love Potion #9 と I Play The Drumsはカヴァー曲。オリジナルとの比較も面白いでしょう。メロディアスな⑨やハードな⑩とか分かりやすいんですけどね。それでも一筋縄ではいかないですよ。
ワタクシのJP初体験は復讐の叫びという邦題がなんかカッコイイSCREAMING FOR VENGEANCE、そして次作のDefenders of the Faithだった。ヘヴィメタルの聖典として、多くのフォロワーを産んだ名盤。そして、80年代に巻き起こるハードロックからメタルへの移行、その時代の象徴となる作品が今作だと教えて貰ったが、国内盤はUS盤仕様と同じくBreaking the Lawから始まるという構成が良くなかった。 余りにも単調なリフとリズム、妙なキャッチーさ、そしてソロはブワーッと弾くという流れ、あと銀行強盗に押し入るショーもないPVも更にマイナスで、ライブではテンポアップしてやったが、アメリカ仕様なのだろうがオープニングナンバーとしては弱かった。特に2曲目のRAPID FIREがカッコ良かったので、絶対にオープニングはコッチだと思う。 しかし、本来は②がオープニングで①が3曲目だと聞いて妙に納得した。そしてそういう曲順にして聴くと実にシックリくる。エッジの立ったメタルギターとリフ、そして加速化したサウンドの①からミドルに②へと流れ、哀愁のメロディとキャッチネスさを意識した③は実にハマっている。 だから④のGRINDERもシンプルに力強く刻まれるリズムとリフに耳が持っていかれる。サビメロが印象的なスケールの大きい⑤、オリジナルの6曲目はYou Don't Have to Be Old to Be Wise、7曲目がLiving After Midnightとなる。正直、この並びでは⑥は地味に感じるが曲自体はコマーシャル性のある曲であり、次作以降に引き継がれるアイデアの雛形だ。 今作は、今聴いても新鮮さがある。そのフレッシュ感の正体は、音楽に対する忠誠心だろう。邪な感情ではなく時代を見据え対峙した中堅バンドの捲土重来とも言うべき、渾身の一枚。その狙いすました音楽性は、新時代の幕開けに相応しい勢いとハードエッジに富んだ作風だ。
まずSLAYERであるがツインギター編成の5人組、これぞジャパニーズメタルなShoot Down Tokyoで幕開け、小気味よく刻まれるリズムと甘めの歌声、さざ波ヴィヴラードは気になるが、上手いことやり切ってくれる、歌詞も80年代的だ。何もかもが懐かしい、これを楽しめるオールドスクール大好きマニアならば、なんか嬉しくなるだろう。もうこういうの新譜ではきけんもね。Hurt Angelは日本らしい叙情派ハードポップソング。こういうのは欧米では目に掛らない。
再始動の機運となったドイツで行われるメタルフェスKeep It Trueへの参加が鼓動となり、新たなる道を歩み出した古豪の復活。実力はあったが時代の波に呑まれ、バンド名や音楽性を変えた時代もあったが、それらを糧に、正当性の強いメタルサウンドで復活。 前作に感じた、先人達からの露骨なデジャブ感を抑え、より明確なスタンスで音楽性を煮詰め、自分たちの流儀を見いだした今作。
Want It Allなどパワーメタル風味と様式メタルを融合させ力感と華麗さをアピール。少々古めかしい鍵盤プレイをねじ込み古き良き時代に誘ってくれる。そしてPictures of Loveでまた甘い世界へと導き、その北欧テイストが優しく寄り添いロマンティシズムを強めたサウンドで魅了。 Bird on a Wireの持つキャッチーさ、②以降の流れは素晴らしく初期の頃の彼らの魅力を補完した。目新しさのないサウンドではあるが堅実である。
ゆりやんレトリィバァの熱演が話題のドラマ極悪女王。その人気ぶりは凄まじく、とうとう今作の配信が決定した。幻の珍品の復活。既にゆりやんがカヴァーしているDump the Heelも披露されているが、彼女、さぞや苦労したろう。 なんと言ってもダンプ松本の壊滅的な歌声、その極悪ぶりに、どう歌メロを理解すれば良いのか苦労したはずだ、とにかく凄かった。藤波辰巳は殿堂入だが、80年代らしいよなぁ。こんなクオリティで商品化されるんだから昭和のえげつなさを感じますよね。